News & Noteお知らせ、授業日誌

努力という怖さ、めんどうくささ

頑張りなさい。 という言葉、20年間1人の子供を育てたら、本気で何回、いうことでしょうか?
また、私は、、、親はそれを本当に言えるのでしょうか。

 

受験生をお預かりして、この言葉を言うたびに、勇気がいります。自分が頑張っていないときは、絶対に言えません。
私は医者はやっていませんが、医学部に行き、勉強して、父親を早くに失くし、自分も病気を して、「あぁ、この方は素敵だな。」と思うお医者様に幾人か、出会いました。

頑張ろうよ。 なのです。頑張りなさい。ではなく、頑張ってください。でもなく。他人に頑張って、とはそうそう言えません。もういっぱい、いっぱいの状態かもしれない人に、それを言うのは、とても危険なことです。

まだ頑張れる? そう聞くことが精一杯です。それすら、ハラハラしています。私が口にするときは、覚悟を決めているつもりです。信頼とはそういうものだと思っています。

 

でも、努力をするのは、どうも皆、怖いようです。努力して、全力でやって、それでも認 められなかったら、どうしたらいいんだろう、、。そんな怖さが、端々に見受けられます。

志望校を決めない。 そのことによく、表れています。もうちょっと頑張ってから、決めたい。自分がまだ必死でないから、だから成績が悪いだけ、、 そう思いたい。そんな様子です。そして、頑張ってから、伸びてから決めたい。そう思っているようです。

ですが、日はどんどん経っていくものです。いつやるの? いつ本気になるの? お母様方は、ハラハラします。私もそうです。早い方がいいに決まっていますから。でも、努力って、なかなか始められません。

目標を定めてから、ゴールまで。努力の過程にも段階があります。最近は、行きたい学校がないのに、受験勉強を始めてしまっているケースがほとんどです。やってみて、どこに行けそうか、、。その入り方が、まず良くないと思っています。

第一段階は、ここからです。

 

1. どういう人になりたいの?
2. それにはどの学校に進んだらいいの?

 

1は、なるべく抽象的にしておくといいと思います。強い人になりたい。 とか、遊びのある人になりたい。 とか。そんなのがいいのではないでしょうか。わたしは雙葉中学を受けるとき、「品のある人になりたいからです。」と志望動機を語りました。「この学校に来れば、なれると思っています。」そう言いました。

雙葉の卒業生に素晴らしい方がいらっしゃいました。私の家のお手伝いさんでした。母が多忙な小児科医だったために、私の幼少期は散々でした。お手伝いさんと家にいると、自分の家がくつろぐ場ではなくなってしまいます。品のあるお手伝いさんは、昭和40年代には、そんなにはいません。下町のおばちゃんがほとんど。住み込みではなく、通いの家政婦さんたちです。皆、気の好い人たちでした。でも、本当に おばちゃん だったのです。1~2年で変わっていくおばちゃんたちは、ある人は焼きそばが上手だったり、ある人は目玉焼きが上手だったり。あはは、、と快活に笑う出っ歯のおばちゃんは、本当にいい人でした。

10数人のおばちゃんに、面倒を見てもらいました。その中で、私が憧れた最後のおばさんは、目玉焼きも作れない(私が教えてあげました。)お掃除も慣れてない、でも、素敵な素敵な家政婦さんだったのです。あるとき、おばさんは、ピーターラビットの絵皿をみて、その縁に書いてある英文を読み始めたのです。

 

PETER WENT TO THE LAKE TO SEE IF…….

 

???私にとっては、電撃でした。「なんで英語が読めるの? もっと読んで、もっと読んで。」英語がわからない私は、読んだことのない本棚の絵本を持ってきて、おばさんにせがみました。 綺麗なお声で、綺麗な言葉が、おばさんのお上品な小さなお口から溢れてきました。

 

なんて素敵なおばさんだろう。。。。

 

その晩、母に尋ねました。「あのおばさんは、どこの学校を出られたの? おばさんの通った学校はどこ?」これが、私と雙葉学園の出会いでした。

おばさんは、訳あって家政婦になり、貧しい暮らしをなさっていましたが、雙葉学園の戦前の卒業生だったのです。後に、おばさんのアパートへ遊びに行きました。お手洗いも、お風呂も共同の、すごく汚い4畳半のお部屋に、万年床のように布団が置いてありました。でも、私は おばさんを嫌いになることもなく、それどころか、ますますおばさんに憧れ、そんな暮らしの中で貯めたお給金で、バレエの公演を観にいくという、おばさんの精神に惹かれました。

今も、おばさんは私の理想です。たった一人で、身寄りもなく、おばさんは老人ホームで亡くなりました。いえ、亡くなったはずです。私は詳しくは知りません。でも、老人ホームで、カーテンに仕切られただけのベット一つのスペースの中で暮らしていても、おばさんは、ホームの模範老人だったそうです。

 

人への憧れがあれば、人間は 努力 ができると思います。結局、人間は、人間に惹かれ、人間に恋い焦がれ、人間に苦しみます。いつも会いたい人、いつもなりたい人、それがあるから、 努力ができるのだと思います。会いたくても会えない人や、話したくても話さない人がいるから、私は頑張れています。あの人のようでいたい、と、心から思った時、努力は面倒ではなくなります。

時々、頑張ろうよ、という時に涙が出そうになります。自分に言っているからです。だって、そうじゃなきゃ、できないことがあるからです。こんな人になりたい。 強烈にそう思うこと。強烈に追い求めること。それしか、努力 の理由を知りません。

努力が怖いのは、きっと、負けるのが怖いからです。そう言って努力しないと、必ず負けてしまいます。自分が、努力しなかった という負け方だけは、しないほうがいいと思って、なんとか頑張ろうよ。そう声を掛け合うのが、この塾です。

 

 

     

 

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